昭和20年代にスウェーデンの小児科医リンドが来日したさい、子どもをおんぶ、だっこしている母親の姿を見て、「日本の子どもに非行やいじめが少ないのは、おんぶ、だっこ、添い寝などによって、母子接触が密に保たれているからだろう。」と指摘したそうです。特にだっこと添い寝は日本特有のもので、そのスキンシップの果たす役割は、乳幼児期に非常に重要なものとして言われてきました。この二つを行わない外国では、その代わりによく子どもを抱きしめたり、キスをしたり頬を寄せたりします。朝起きておはようと抱きしめ、父親が出かけるときは行ってきますとキスをし、子どもが何かできると大げさにほめて抱きすくめます。
今、出歩くときに、子どもをおんぶどころか最近はだっこもあまりしないで、バギーに乗せたり、寝るときにはベビーサークルやベットなどを使ったり、アメリカナイズされた育児方法になってきました。ではスキンシップの取り方もアメリカ的になったかというとそうでもありません。今の若い人は平気で人前でも抱き合ったりキスをしていても、若いお母さんお父さんが子どもを人前で怒る姿を見ることがあっても、抱きしめたりキスをしたりする姿はあまり見かけません。スキンシップの方法が変わったのではなく、ただ、だっこや添い寝でのスキンシップがなくなっただけというのが、最近の小中高校生にいじめや暴力が増えていることと関係がなければいいのですが。
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