1997年8月3日の読売新聞に神戸王子動物園で41年間飼育係をやっている亀山さんのコメントが載っていました。
「ペットの猿が動物園に引き取られたことがあった。広場に放たれても、隅の方で体を上下に揺らすだけで走り回ろうとしなかった。
……。
2年前の阪神大震災時、群れの動物はじっと寄り添ったのに、個室にいた動物はパニックに陥った。
……。
人間を同列にするのではないが、子どもを閉ざした空間に置くのはよくない。」
人は価値観が違ったり、生活環境の違う人と一緒にいるのは心地よいものではありません。一人でいるよりはトラブルは多いし、我慢することも多くなります。そんなことも結婚しない人が増えていたり、離婚する人が増えている理由の一つかもしれません。子どもの世界にも同じようなことがあります。地域で育つことが少なくなって、兄弟も少なくなってきた今、子どもたちはほとんど自分の主張が通ることが多く、我慢をする場面があまり見られません。人間はもともと群れの動物です。ペットのようにただ大事に育てられると広い場所に出たときや、パニックのときにどうしたらよいかわからなくなります。
その点、保育園の子どもたちは子ども同士の社会を持っています。思い遣ったり、けんかをしたり、徒党を組んだり、面倒をみたり、みられたり、大人社会に出たときに必要になるさまざまな知恵を学んでいます。トラブルを避けたいが故に子どもたちのおとなになるための学びを一方的に阻止することなく、温かく見守っていきたいですね。
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